focuslightsの満たされない日々

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高齢患者にがん治療をしても無駄という研究

2017年4月27日に国立がん研究センター(NCC)が
高齢者へのがん医療の効果にかかる研究報告-進行がんにおける抗がん剤治療と緩和治療との有効性及びその適正使用-
という報告書を公開しています。

www.ncc.go.jp

調査では、2007年から2008年に中央病院を受診した肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんの患者さんのがん登録データを用いて、進行がんにおける抗がん剤治療と緩和治療(放射線治療含む)での生存日数を非高齢者と高齢者でと比較しました。その結果、今回の検討では、臨床的、統計的に意味のある結果を得ることが出来ませんでした。

JCASTのニュースでも報じられています
www.j-cast.com

国立がん研究センターは進行がんの高齢患者に対する治療効果を検証するため、同センター中央病院の患者データを活用した予備調査を行い、肺がんに限り抗がん剤治療の有無に関係なく、75歳以上では生存期間に差がなかったと、2017年4月27日に発表した。

高齢者には抗がん剤の治療効果がなかった」と
「統計的に有意な結果が得られなかった」
では、天と地ほどの違いが有りますが、言いたいことは「高齢者にがん治療をしても無駄」ということでしょうか。



私は、この研究は色んな意味で「最低」だと思います。

プレスリリースによると、「国立研究開発法人日本医療研究開発機構から委託を受けたみずほ情報総研株式会社から依頼」。
いわゆるAMEDの資金を利用した研究。

AMEDとは2015年に設立された研究開発の助成団台。
研究者の自発的な研究ではなく、政府の目的に沿った研究に対して資金を出すというものです。

「政府の目的に沿った」と言う事自体は悪いわけではなく、国を挙げての目的意識を否定したいわけではありません。
再生医療などに重点投資されていて、将来を見据えた助成もたくさんあります。

が、このこの研究ははじめから「高齢者に高がん治療を行っても無駄」という結論を導き出すための研究。
http://www.sankei.com/life/news/160427/lif1604270007-n1.html
最近「年間3500万円の抗がん剤が国を滅ぼす」などの報道がされ、薬剤費を抑える方法が考えられています。

そのために、「高齢者にがん治療を行わない」という研究を、国の資金で「国立がん研究センター」が行ったというところに恐ろしさを感じます。
そして、この研究は未来の研究に対してなんの価値も産まないのに、AMEDが支援したというところに、設立理念が失われつつあると感じます。


高齢者にがん治療しても延命効果が薄いのは感覚的にだれも否定しません。

現代の姥捨て山にお墨付きを与えるための研究。
NCCとAMEDが行ったのはそういうことでしょうか。

医療費の抑制が必要なのは、誰の目にも明らかです。
でも、もっと他の方法があるんじゃないかとfocuslightsは思います。